
猫の多頭飼育崩壊はなぜ起きる? 兆候と防ぎ方を環境省の資料で整理
猫の多頭飼育崩壊はなぜ起きるのか。繁殖のスピードや崩壊の兆候、防ぐための対策、相談窓口を環境省と自治体の公開情報から整理しました。
そもそも「多頭飼育崩壊」とは何か
多頭飼育崩壊とは、飼っている犬や猫が増えすぎて、適切に世話できなくなる状態を指します。
相模原市の案内では、多頭飼育崩壊を「ペットの犬や猫が増えすぎてしまい、適切に飼えなくなる状況」と説明しています。動物の栄養不良や感染症のまん延、糞尿による悪臭や害虫の発生など、動物と周辺の生活環境の両方が悪化するのが特徴です。
環境省も、多頭飼育問題の根底には飼い主自身の経済的困窮や社会的孤立があるとしています。単なる「動物の問題」ではなく、飼い主の生活そのものが行き詰まった結果として起きることが多い、という位置づけです。
なぜ猫は多頭飼育崩壊が起きやすいのか
猫は繁殖可能になる時期が早く、出産の間隔も短い動物です。
相模原市の案内によると、猫は生後6〜12か月で繁殖可能になり、年に2〜4回、1回に2〜6頭を出産します。同じ資料では、犬も生後6〜12か月で繁殖可能になり、年に約2回、1回に2〜8頭を出産するとされています。
| 項目 | 猫 | 犬 |
|---|---|---|
| 繁殖可能になる時期 | 生後6〜12か月 | 生後6〜12か月 |
| 出産回数の目安 | 年2〜4回 | 年約2回 |
| 1回の出産数 | 2〜6頭 | 2〜8頭 |
猫は犬より出産回数が多いため、不妊去勢をしないまま室内外を出入りさせていると、数か月〜1年ほどで頭数が把握できなくなる例があります。子猫が生まれ始めてからでは、対応が追いつかないことも珍しくありません。
崩壊の兆候をどう見分けるか
崩壊は突然起きるのではなく、いくつかの兆候を経て進行します。
相模原市の案内では、崩壊の兆候として次のような状態が挙げられています。
- 子猫や子犬が生まれている、またはお腹の大きいメスがいる
- 糞尿が放置され、悪臭や害虫が発生している
- 飼い主が管理できない頭数を飼っている
これらは、飼い主本人にとっては「なんとかなっている」と感じられていても、外から見ると崩壊の初期段階であることが多い状態です。近隣からの異臭や鳴き声の相談がきっかけで発覚するケースも、自治体の案内では紹介されています。
崩壊を防ぐために飼い主ができること
予防の中心になるのは、繁殖させないための不妊去勢手術です。
相模原市の案内は、不妊去勢手術によって生殖器系の病気の予防やストレスの軽減が期待できるとしています。繁殖を止めること自体が、頭数の急増を防ぐ最も直接的な対策になります。
環境省が令和3年度に実施した「多頭飼育対策推進モデル事業」では、自治体ごとに飼い主への啓発に取り組んだ事例が紹介されています。
| 自治体 | 主な取り組み |
|---|---|
| 滋賀県 | 不妊去勢手術の重要性などをテーマにした教育動画を制作 |
| 台東区(東京都) | シニア世代の飼い主向けにペットの終活ノートなどのパンフレットを作成 |
| 熊本市 | 一般向けの普及啓発パンフレットと啓発動画を制作 |
シニア世代向けの取り組みが含まれているのは、飼い主の高齢化や体力の低下によって世話が追いつかなくなり、繁殖を止められないまま頭数が増えるケースがあるためと考えられます。「自分はまだ大丈夫」という段階から、将来の飼育計画を考えておくことも予防の一部です。
すでに崩壊が起きていたら誰に相談すればいいか
頭数の把握ができなくなった段階でも、一人で抱え込む必要はありません。
環境省のガイドラインは、動物愛護管理部局だけでなく社会福祉部局も含めた多機関連携での対応を想定しています。生活困窮や社会的孤立が背景にある場合、動物の問題だけを切り離して解決するのは難しいためです。
相談先の例として、相模原市では動物愛護センター準備室が窓口となっており、猫については月2回の相談会も開催されています。お住まいの自治体にも、同様の動物愛護担当窓口が設けられていることが多いので、まずは市区町村の窓口に連絡することが最初の一歩になります。
出典
- ペットの多頭飼育問題(いわゆる多頭飼育崩壊)を知っていますか?(相模原市)
- 「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」の策定について(環境省 報道発表資料)
- 環境省_多頭飼育対策推進モデル事業
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