
猫を虐待・遺棄すると法律上どうなるのか — 動物愛護管理法の罰則を環境省の資料で確認する
猫を含む「愛護動物」への虐待・遺棄には、動物愛護管理法で懲役刑を含む罰則が定められています。環境省と自治体の一次情報にもとづき、対象となる動物や罰則の重さ、通報先を整理しました。
「うちの猫が近所で変な扱いを受けているかもしれない」「多頭飼育の家が気になる」。
そう感じたとき、法律上何が虐待にあたり、どこに相談すればよいのかを知っておくと動けます。
ここでは環境省と自治体の一次情報から、罰則の中身を整理します。
そもそも何が「虐待」「遺棄」にあたるのか
法律上の虐待は、殴るなどの積極的な行為だけでなく、世話をしないことも含みます。
環境省のページでは、虐待にあたる行為として次のような例が挙げられています。
- 暴力を加えて痛めつける
- 首を絞める、殴るなどの暴行
- 十分な餌や水を与えず衰弱させる(ネグレクト)
- 病気やけがを放置する
遺棄は、飼っていた愛護動物を捨てる行為です。
引っ越しを機に置き去りにする、山や河川敷に放すといった行為が該当します。
「もう飼えない」という事情があっても、置き去りにすることそのものが処罰の対象になります。
猫は法律上「愛護動物」に含まれるのか
罰則の対象になるのは、法律で定められた「愛護動物」に対する行為だけです。
猫は明確にこの対象に含まれています。
| 分類 | 具体的な動物 |
|---|---|
| 法律で個別に列挙されている動物 | 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる |
| そのほかの対象 | 人が占有している哺乳類、鳥類、爬虫類 |
出典: 環境省「虐待や遺棄の禁止」
飼い猫はもちろん、地域猫のように人が世話をしている猫も「人が占有している哺乳類」として保護の対象になり得ます。
一方、人の管理下にない完全な野生動物は、この分類の対象外です。
罰則はどれくらい重いのか
行為の内容によって、罰則の重さが分かれています。
最も重いのは、命を直接奪う「殺傷」です。
| 行為 | 罰則 |
|---|---|
| 愛護動物をみだりに殺す・傷つける(殺傷) | 5年以下の懲役または500万円以下の罰金 |
| 愛護動物への虐待(暴行・ネグレクトなど) | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
| 愛護動物の遺棄 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
出典: 環境省「虐待や遺棄の禁止」、山形県「動物の遺棄・虐待に対する罰則が強化されました」
罰則はどう強化されてきたのか
現行の罰則は、もとから今の重さだったわけではありません。
2019年(令和元年)の法改正で、罰則が大きく引き上げられました。
| 行為 | 改正前 | 改正後(現行) |
|---|---|---|
| 殺傷(懲役の上限) | 2年 | 5年 |
| 殺傷(罰金の上限) | 200万円 | 500万円 |
| 虐待・遺棄 | 罰金のみ(懲役刑なし) | 1年以下の懲役を新設、罰金100万円以下 |
出典: 環境省「令和元年に行われた法改正の内容」
この改正では、罰則の引き上げのほかに、獣医師が診療の中で虐待を疑う事例を把握した際、自治体などに通報する努力義務も新設されました。
改正内容は段階的に施行され、罰則の強化を含む大部分の規定は2020年6月1日から適用されています。
改正前は「虐待」と「遺棄」に懲役刑が存在せず罰金のみでしたが、この改正で初めて懲役刑が科され得るようになりました。
多頭飼育の放置も虐待とみなされることがあるのか
飼育できる数を超えて猫を増やしてしまう「多頭飼育崩壊」も、法律上の虐待に触れる場合があります。
給餌や清掃が行き届かず猫が衰弱している状態は、ネグレクトによる虐待にあたり得ます。
「増えすぎて世話が追いつかない」という状況を放置すること自体が、法律上のリスクになるということです。
繁殖を止められないまま頭数が増え続けるケースでは、早い段階で不妊・去勢手術など繁殖を制限する対応を取ることが、崩壊を防ぐ手がかりになります。
虐待を見かけたら、どこに相談すればいいのか
「これは虐待かもしれない」と感じたときの相談先は、法律上の裁定を待たなくても利用できます。
環境省のページには、地方自治体ごとの動物虐待等通報窓口一覧へのリンクが掲載されています。
また山形県のページでは、最寄りの保健所または警察署への連絡が案内されています。
| 相談先 | 役割の目安 |
|---|---|
| 最寄りの保健所・動物愛護センター | 動物の保護、飼い主への指導 |
| 警察署 | 犯罪としての捜査・立件の判断 |
| 各自治体の動物虐待等通報窓口 | 通報の受付・関係機関への取り次ぎ |
緊急性が高い、あるいは動物の命に関わると感じる状況では、迷わず警察署にも連絡することが案内されています。
通報や相談をためらう必要はありません。窓口は「これが虐待かどうか」の判断も含めて相談できる場所として案内されています。
連絡先は自治体ごとに異なるため、お住まいの地域の窓口を確認しておくと、いざというときに動きやすくなります。
出典
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