
犬猫の殺処分数はなぜここまで減ったのか — 環境省統計20年分で確認する
環境省が公表している犬・猫の引取り及び処分の統計をもとに、平成16年度から令和6年度までの殺処分数の推移を確認しました。減った理由と、いまも残る課題を出典つきで整理します。
そもそも「殺処分数」とは何を数えた数字なのか
「殺処分数」は、都道府県・指定都市・中核市が引き取ったり収容したりした犬猫のうち、新しい飼い主に譲渡されず、元の飼い主にも返還されなかった数を指します。
環境省の統計ページによると、都道府県等は「所有者からの引取り」と「所有者不明の犬猫の収容(拾得など)」の両方を受け付けています。受け入れたあとの流れは、大きく分けて3つです。
20年間でどれだけ減ったのか — 環境省統計を確認する
環境省が公表している「犬・猫の引取り及び処分の状況」には、平成16年度から令和6年度までの返還・譲渡数と殺処分数が年度別に載っています。主な年度を抜き出すと、次のとおりです。
| 年度 | 返還・譲渡数(合計) | 殺処分数(合計) | 殺処分数のうち犬 | 殺処分数のうち猫 |
|---|---|---|---|---|
| 平成16年度 | 29,323 | 394,799 | 155,870 | 238,929 |
| 平成21年度 | 43,565 | 229,832 | 64,061 | 165,771 |
| 平成26年度 | 50,217 | 101,338 | 21,593 | 79,745 |
| 令和元年度 | 53,062 | 32,742 | 5,635 | 27,107 |
| 令和3年度 | 44,630 | 14,457 | 2,739 | 11,718 |
| 令和5年度 | 35,764 | 9,017 | 2,118 | 6,899 |
| 令和6年度 | 32,506 | 6,830 | 1,964 | 4,866 |
殺処分数は平成16年度から令和6年度までの20年間で、約98.3%減りました。特に平成21年度から令和元年度にかけての10年間で7分の1近くまで下がっており、減少のペースが速い時期だったことが分かります。
猫は今も犬より多く引き取られている
犬と猫を分けて見ると、減り方に差があります。令和6年度の殺処分数は、犬1,964頭に対して猫4,866頭で、猫は犬の約2.5倍です。
環境省の同じ統計ページによると、令和6年度の引取り数は犬17,399頭・猫22,010頭でした。令和3年度は犬24,102頭・猫34,805頭で、こちらも猫の方が多くなっています。
| 年度 | 犬の引取り数 | 猫の引取り数 |
|---|---|---|
| 令和3年度 | 24,102 | 34,805 |
| 令和4年度 | 22,392 | 30,401 |
| 令和5年度 | 19,352 | 25,224 |
| 令和6年度 | 17,399 | 22,010 |
猫の引取り数が犬より多い状態は、少なくともこの4年間続いています。犬は登録・鑑札制度があり飼い主が特定しやすいのに対し、猫は屋外で暮らす個体や、所有者がはっきりしないまま生まれる個体が多いことが背景にあると考えられますが、この点についての環境省側の詳しい分析は今回確認できませんでした。
なぜここまで減ってきたのか
環境省が平成18年(2006年)に出した通知「犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について」には、都道府県等の窓口に対する助言義務が定められています。
その通知には、次のような趣旨が書かれています。
終生飼養、みだりな繁殖の防止等の所有者又は占有者の責任の徹底を図る観点から、引取りを求める事由、頻度及び頭数に応じて、飼養の継続及び生殖を不能にする不妊又は去勢その他の措置に関する必要な助言に努めること。
つまり、飼い主から引取りを求められた窓口は、ただ引き取るのではなく、「最後まで飼えないか」「不妊・去勢はできないか」を助言するよう求められています。
これに加えて、都道府県・市町村ごとの譲渡ボランティアとの連携や、地域猫活動のような繁殖抑制の取り組みが各地で広がってきたことも、引取り数そのものを減らす方向に働いてきたと考えられます。ただし、この因果関係を定量的に裏づける環境省の資料までは、今回確認できていません。
都道府県ごとの数字はどこで見られるのか
ここまでの数字は全国合計です。地域によって引取り数や殺処分数には差があり、環境省の統計ページからは都道府県・指定都市・中核市別のPDF資料にもたどり着けます。
お住まいの自治体の数字が気になる場合は、環境省の統計ページに掲載されているリンクから、自治体別の資料を直接確認することをおすすめします。全国の合計だけでは、地域ごとの取り組みの違いは見えてきません。
出典
この記事はいかがでしたか?
よろしければ、いいねをお願いします。
SNSでシェアして教えていただくこともできます。